Microsoft 365は本当に安全か?

目次
セキュリティ事故を防ぐために最低限やるべき3つの対策
「Microsoftアカウント セキュリティ」が話題に
最近「Microsoftアカウント セキュリティ」というキーワードが注目されていました。
サイバー攻撃の多くが「ID・パスワードの乗っ取り」から始まる今、Microsoft 365のようなクラウドサービス利用企業にとって、
“アカウントを守ること=会社の資産を守ること”です。
しかし現場では、次のような声をよく聞きます:
- 「M365は導入してるけど、細かい設定まではしていない」
- 「PCは個別でバラバラ。Entra IDに参加させてない」
- 「MFAとかIntuneって面倒そう/お金かかるし…」
こうした“やってない状態”が情報漏洩や不正アクセスの温床になっています。
本当に最低限やるべき3つのセキュリティ対策
① PCがMicrosoft Entra IDに参加していない
Microsoft 365でアカウントだけ管理しても、PCがEntra ID(旧Azure AD)に参加していなければ、端末制御はできません。
こんなリスクがあります
- 社員のPCを紛失しても誰でもファイルにアクセス可能
- ローカルの設定・アプリは野放し状態
- 管理者からは、誰がどの端末で業務しているか見えない
対策
- すべてのPCを Azure ADでEntra に参加
- Intune管理対象にし、BitLocker強制・更新制御・ログ取得も含め一元管理
② MFA(多要素認証)を未導入
現在のMicrosoft 365ではMFAは事実上「強制」です。
- 2023年以降に作られた新規テナントではSecurity Defaultsが有効化済み
- 古いテナントでも手動でMFA登録を促す通知が出る
でも、実は古いテナントではMFAを無効化できる
「セキュリティの既定値」をオフにすれば、MFAなしの運用も可能です。
ただしこれは “昔の設定に戻してしまえる”だけで、安全とは言えません。
Microsoftも
「MFAを有効にするだけで99.9%のアカウント乗っ取りを防げる」と明言しています
ー Microsoft Security Blog
対策
ライセンス | 推奨対策 |
---|---|
Entra IDなし | Security Defaults有効化(無料) |
Entra ID P1(E3など) | 条件付きアクセスでMFA必須にする |
Entra ID P2(E5など) | Entra ID保護でリスクベースMFA制御 |
③ Intuneでの端末管理が未導入
Microsoft 365を「IDだけ」で守ろうとすると、端末を通じて簡単に情報が漏洩します。
よくある事例
- 社員が勝手に個人PCやスマホから業務データにアクセス
- 私物USBでファイルを持ち出しても誰にもバレない
- 退職者の端末にまだ業務データが残っている
Intuneでできる主な対策
- アプリ制御:許可された業務アプリだけ使えるように
- Webフィルタリング:SNS、動画、個人メールなど遮断
- リモートワイプ:退職・紛失時に遠隔で初期化/業務データ削除
- USB/Bluetooth制限:無断持ち出しをブロック
- セキュリティポリシー強制:Defender、BitLockerなどを一括設定
補足:条件付きアクセスとは?
条件付きアクセスは、Entra ID P1以上で使えるアクセス制御の中核機能です。
できること(例)
- 社外アクセスは禁止、社内ネットワークからのみOK
- MFA登録済みのユーザーだけがSharePointを開ける
- Intuneに登録された準拠デバイスからのみTeamsに接続可能
- 特定の国やIPからのアクセスを遮断
複数の条件を組み合わせたアクセス制御が可能で、ゼロトラスト実現の中核となります。
ライセンス費用が気になる?でもそれ以上に損害は大きい
Microsoft 365のE3やE5、Intuneなどのライセンスには確かにコストがかかります。
しかし、情報漏洩や乗っ取りが起きた場合、その被害ははるかに大きくなります。
- 取引先への謝罪、取引停止
- 調査・復旧・法的対応のコスト
- 報道や口コミによる信頼失墜
中小企業でも1件の漏洩で数百万円〜数千万円規模の損害が発生することも。
信用は一瞬で失われ、回復には何年もかかります。
まとめ:Microsoft 365の設定こそが、今のセキュリティの基盤
- Entra IDに参加していないPC → 管理できていない
- MFAを無効化できる状態 → むしろ危険なまま
- Intuneで制御できない端末 → 漏洩リスクが常に存在
Microsoft 365を導入した時点では「まだ入口」です。
その先の設定・運用ができてはじめて、組織を守れる体制になります。
気になったら、お気軽に相談を
・うちの設定って大丈夫なの?
・ライセンス内でどこまでできる?
・MFAやIntuneの導入ってどのくらい工数がかかる?
そんな疑問があれば、小さくても今すぐ動き出すことが最も重要です。
「事故が起きてから」では遅い。
今すぐできるところから、一緒にセキュリティを見直しましょう。
以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。
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